歯周病の説明書 1
(こちらは、患者さんに向けて配布している当院オリジナル冊子(歯周病の説明書)を転載したものです。)
完全に主観ですが、医療機関で配る病気の説明書にあまり面白いものはなさそうです。この冊子もその一つになる可能性が高いですが、なるべくそうならないように頑張ろうと思います。途中、「ん?」と思われる部分があるかもしれませんが、それは「面白くしようと頑張っているのだな。」と暖かく見守っていただければ幸いです。
歯周病はどんな病気か?
いきなり、嫌な例えから入ります。
例えば、指の皮膚を突き破ってて骨が出ていたとしたらどう感じますか? 僕は単純に「怖い」のですが、菌が入りそうなので,
すぐに消毒したいと感じます。ビニール袋に穴が開くと、色々入り込んでしまうのと同じで、皮膚に穴が開くと細菌が入り込んでしまうからです。
さて、お口の中を見てみてください。歯は歯ぐきを貫通しています。骨が皮膚を突き破っているのと同じで弱いのです。そこを、もの凄く賢い細菌が狙っているというわけです。その細菌が、歯周病菌です。
歯周病菌は、なんとかして体の中に侵入しようとします。一方で、体もそう簡単に入り込まれないような構造に仕上がっています。攻める歯周病菌と守る体、この「せめぎ合い」こそ歯周病なのです。
歯周病菌はどのように攻めてくるのか?
歯周病菌は、いきなり歯と歯茎の中に入り込むわけではありません。彼らは、コツコツ準備をし続けます。数ヶ月かけて、仲間を集め、「排水溝のぬめり」のようなバリアを作ります。城攻めをする前に、兵士を集めて包囲するようなイメージです。準備をしながら、チクチクと歯と歯茎の間に攻撃を仕掛けてきます。
攻撃を受けると、歯茎は炎症反応を起こし、簡単に出血するようになります。その血液に含まれるタンパク質や鉄分は、歯周病菌の餌になります。元気になった歯周病菌は増殖し、兵力を増していきます。
歯周病菌、賢いですよね。体に攻撃を仕掛けて煽ります。そして、まんまとおびき出された防御兵を餌にするわけです。その繰り返しで、兵力を増して勢いづいた歯周病菌は、いよいよ城へ侵入します。
続く・・・