成長発育の全体性

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頭蓋顎顔面の成長発育をまとめようと思いながら、なかなか筆が進まない。

というのも、何かをまとめようと思うと必ず断片化の作業が必要である。

例えば、「頭蓋顎顔面についてまとめる」ということ自体が人間全体に対して、頭蓋顎顔面という部分を切り取っている。

僕にとって、「断片化に対する違和感」は大きな課題である。

理解して表現するには断片化が必要である。
よって、表現しようとすると成長発育の全体性の前に立ち尽くすことになる。

成長発育時には、時間とともに形態やサイズが変わり、そこには遺伝的な要素が関わる。
そして、近年「機能」と称される「動き」が強く関連していると言われる。

これを理解するために、断片化が行われてきた。
まずは、形態やサイズを切り取る。
そして、軟組織と硬組織に分ける。
さらに、筋肉、骨etcなど組織ごとに理解しようとする。

そこに、「動き」を取り込む。
「動き」には、2種類ある。(としよう。これも断片化)
「運動」と「形態変化」である。

ここで忘れてはならないのは、
「動き」には時間が含包されていることである。

と、ここまではとにかく分断しているのである。

では、それをどのように全体として理解すべきなのか?

ここが最も重要なことであるにもかかわらず、どう理解すべきかはよくわからない。

ただ、「なんか健やかに育ってるね。」
と親が感じることは、子どもの成長の全体性を捉えているではないかと思う。

話はずれるが、
健康(Heath)と全体(hale)は、語源が同じらしい。(※文献)

僕らは、患者さんに「健康(Heath)」を訴えながら、その健康を理解するために断片化して、「全体(hale)」を失っているのではないだろうか?

現に、「健康」ってなんですか?と聞かれて即答できる医療従事者は少ないような気がしている。

このような考察から、断片化によって発展してきた医療のこれからの課題が浮き彫りになってくるではないだろうかと思うのである。

(※)

Nagano Coll. Nurs. 長野県看護大学紀要
資料 4: 95~99,2 0 0 2

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