通院していただいている患者さんのための 用語集 1

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ーこちらは、当院で配布している冊子を転載したものです。ー

はじめに
医療技術は進歩を続けています。それに加えて情報技術(IT)の飛躍な進化も見逃せません。インターネットによって、患 者さんが簡単に医療情報に触れることができるようになりました。しかし、ネット上には、有益な情報もあまり好ましくな い恣意的な情報もあります。あまりに情報が溢れているために、自分が患者さんの立場ならば、何が正しいかわからなくなっ てしまします。 このような時代の流れのなかで、地域の歯科医療機関としてどのような変化をしていくべきかを考え続けてきました。
その思考の中で、3つのキーワードが浮かび上がってきました。「情報」「専門知」、そして「価値観」です。例えるなら ば、「情報」は道具で、「専門知」はそれを扱うための技術です。そして、その道具と技術をつかって何を作るのかを決める のが「価値観」です。すこし分かりづらい「専門知」をシンプルに説明すると、「何が重要でなにがそうでもないか?」「何 ができて何ができないのか?」判断するための知といえます。
昔は、「情報」も「専門知」も、歯科医師だけが持っていました。その結果、歯科医師が患者さんの「価値観」にも大き な影響を与えていたかもしれません。

しかし、今は下記のような変化が起きているのではないでしょうか? 情報は、患者さんも歯科医療従事者も持っている。
専門知は、歯科医療従事者が持っている。 価値観は、患者さんが持っている。
このような前提で考えた時、僕たちと患者さんが持っている「情報」を僕たちの「専門知」をもって選別し、患者さんの「価 値観」をもって方針をを決めるというプロセスを、患者さんと僕たちのどちらも認識することが重要だと思うのです。

そうなると、患者さんと僕たちの「言葉のやりとり」によって提供する医療の方針が決定していかなければなりません。歯 科医師になって15年ほど経ちますが、これが医療の肝の一つだと感じています。あえて、コミュニケーションではなく 「言葉のやりとり」という表現を使っているのは、言葉の重要性を意識するためです。
患者さんと医療従事者の「言葉のやりとり」で一般的に問題になるのは、専門用語の扱いです。しかし、僕は、それは平易 な表現で説明すれば良いだけの話なのでそれほど難しくは考えていません。
それよりも!です。
患者さんが「当たり前に知っている言葉」の扱いが非常に難しいのです。
例えば、「治る」。患者さんにとっては「治る」は「治る」です。僕にとっては、扱い困難な多義語です。この言葉は、そ れ自体がポジティブなイメージしかないので、いつも慎重に使用しています。
それを、説明するのために、用語集をつくりました。参考にしたものも何もなく、臨床現場の問題の解決策として考えた完 全オリジナルのものですので、至らない点があるかもしれませんがお許しください。

最後に、当院の患者さん限定の用語集であることを強調させてください。

西野 由郷

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